なくてもこまらないけれど、

個人的な事情に個人的に折り合いをつけるブログです

出典

今までの記事で述べた考えに至るまでに読んだ本やWebページの記録と簡単な感想です。

私の書いたことは全部「出典」に書いてあります。しかし不思議なのが、散々読んで散々考えた挙句雲が晴れるかのように出てきた答えって、確かに出典には書かれてるんですが、読んでいた時にはそれほど重要視も感銘も受けてない箇所なことが多いのです。多分、気づいていないことには関心を持てないのだと思います。車輪の再発明は愚かなこととされますが、こと精神的な話に関しては、再発明だったとしても自身で辿り着くことが重要なんだと思います。

もしあなたが私の考えに共感してくれていたとしても、私の考えをそのままあなたの中に取り込むのではなく、自身で辿り着いた考えにしてください。この記事がその参考になれば幸いです。

だいたい読んだ順、敬称略です。

人生がときめく片づけの魔法 近藤麻理恵

「感情を信じて行動すると、すべてがうまくいく」という節が衝撃でした。は?何言ってんの?と思ったのですが、書いてあることに従ってみたところ個人的にすごく居心地の良い整理ができました(シャープペンもボールペンもカラーマーカーも向きすら気にせず全部一つの箱にぶち込むので、他人からすると全く整理されていないように見えるのですが)。私は自分を論理的な理屈屋だと認識していたのですが実は感覚優位な人間で、その感覚が他人とズレているから逐一理由を説明せざるを得ず理屈をこねくり回す羽目になっているのではないか?と疑うきっかけとなりました。ちなみに家はめちゃくちゃ片付きましたが、その後納得のいかない買い物をさせられた(した)ことをきっかけに総崩れになりました。一つダメだと思うことがあると自分のやってきたことを全て台無しにしたくなってしまう、という癖にも気づきました。

ナミうつブログ ナミ

双極Ⅱ型障害の診断を受けているナミ氏が、気持ちを少しでも軽くする考え方や落ち込んだときのやり過ごし方などを模索されているブログです。サイト案内やプロフィールにいい感じに記事がまとめられています。社会的に困っているときは困ったときの相談窓口もおすすめです。全体的に押し付けがましさがなく、こんな考え方もありますよ、ダメですか?ではちょっとゆっくりしていきますか?というスタンスなので触れるもの全て傷つけ自分も砕け散るガラスのナイフみたいな気持ちのときに沁みます。本や映画の感想の記事もあり、ブログを離れて自分で手がかりを探していくきっかけもくれます。

グサリとくる一言をはね返す心の護身術 バルバラ・ベルクハン(瀬野文教・訳)

「傷つかないためにはどうしたらよいか」というテーマのもと、具体的な考え方を示している本です。「何を言われても傷つかない鋼の心を持つ」のではなく「真面目に取り合う(感情で受け止め、傷つくことも厭わない)ときとそうでないときを区別する」ことに重きを置いています。タイトルの「はね返す」は言い返すことではなく受け取らないことです。これからどうしていくか考えようにも、常に攻撃を受けていたら疲れてしまって何も考えられません。精神的な余裕を回復するために有用だと思います。私はこの本に従って今自分がいる環境で真面目に取り合うべきところはどこか切り分けを行ったところ、物理的には1人でいる時間しかなく(映画とか本とか動物とかと対峙しているとき)もしかして居る場所を間違えているんじゃないかという疑念を持ち始めました。

じぶんを好きになろう うつな私をごきげんに変えた7つのスイッチ 岡映理/瀧波ユカリ

うつ病と診断された筆者がごきげんに過ごせるようになるまでに行ったこととそれによる精神の変化を書いた本です。何をどうしたらいいか全く分からん、というときに行為を真似してみると変化のとっかかりになるかもしれません。ゴミを捨てるとか新しい服を着てみるとか、ほとんど家から出ずにできることから始まるのでやりやすいと思います。初っ端から人を好きになる能力があることや、Twitterで病みポエムを呟いていると助けてくれる親方がいることや、うつになっても仕方がないような過去があるとか、何もないのに駄目になっている私からするとつ、強すぎる…という感じなのですが、それは一旦おいておきます。自分自身の操縦の仕方を知ること(本文中では心の地図と称されています)は、とても重要だと思います。

マンガで分かる こころを癒すセラピー 阿部ゆかり

セラピー自体は専門の方の助けがないと出来ない(一人芝居をすることになるので、なあなあになりそう…)ですが、紹介される12人のキャラクターは自身の傾向を把握する手がかりになります。私は自身の幸せを阻止しようとするハカイダー、現実を否認するビッキー、無表情で人と会うことを避けるカイリンの傾向があります。それらが多くの場合なんのために存在しているのかということを知ると、次に自分が取る行動の候補が見つけやすくなると思いました。それから、何らかの出来事に対してとっさに浮かぶ思いや考えに「自動思考」と名前がついていることを知りました。グサリとくる〜では「内なる批判者」と呼ばれていたもので、うつな私を〜でも冒頭この自動思考に気づくことから始まっています。対処した方がいい重要な観点なんだろうなあも思いつつも、咄嗟に出てくる思考は得体の知れない脅威でしかなかったのですが、名前がつくことで、対処できるような気がしてくるので不思議です。そして変化の近道は自動思考を消すことではなく、「気づいて」「受け入れて」「許す」ことだそうです。この後、私は引き続きいろいろな本を読んでいくわけですが、今改めてこの本を読むと、ここにひとつの答えがありますね。差し迫って読んでいた頃は、このコラム的な部分は流し読みだったのですが。

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ 永田カビ

タイトルで気持ち分かりすぎるなと衝撃を受けた漫画です。さびしいけれどそんなことを言えるような人間関係を持っていないし、構築できる気もしないし、ゆえに安全に人と関わる方法としてレズ風俗を選ぶという発想、分かりすぎる。無意識のうちに自身に制限を課してしまうこと(永田氏の場合は、ケーキを食べる資格がないとか)や自己と外部の境界が曖昧になっていることでどんどん辛くなってしまうこと…などに気づく過程が、可愛らしい絵柄で描かれており、心の機微の例えも的確で読みやすいです。罰を受ける自分と罰を課す自分の二手に分かれているがそれに気がついていないという現象に対して、主導権をもう1人の自分から取り戻し続ける必要があると描かれていてなるほどなと思いました。心の護身術にも7つのスイッチにも似たようなことが書かれていて興味深いです。この主導権の考え方を意識してみたところ、(右に置いたペンを左に動かすくらいの)ちょっとしたことですら、思いついたことをすぐさま否定する存在が私の中にいることに気づき、何これと思いました。

 

閑話休題

それにしても、一旦駄目になってしまった人が立て直るときって、外部からのきっかけがあるように思います。岡映理さんは好きになった人との別れ、永田カビさんはバイトの面接で初対面の人に応援されたことが転機となっています。人と関わりがないまま駄目になって、人と関わる勇気もない人はどうすればいいのでしょう。私はせめて、駄目になってしまった人が本などの創作物に触れられるといいなと思っています。文字を読むのが辛いなら、絵や音楽でもいいです。これらは人から直接きっかけをもらえない人間に、擬似的にきっかけを提示してくれます。擬似的に希望を持てるし、擬似的に駄目から脱却できるし、なんなら地球から離れることだってできます。自分の半径数メートルの出来事だけに、頼ることもないと思います。

閑話休題ここまで〜

16personalities

いわゆる性格診断です。質問に答えると16種類の性格から合致するものが表示されます。外向的か内向的か、論理型か道理型かなどもパーセンテージでどちらの傾向が強いかを教えてくれます。無料なので占い感覚でやってみるのがいいと思います。ちなみに私はINTJ-T型です。どうやって計算したのかは知りませんが、女性だと全人口の0.8%が該当するそうです。どうも希少種です。ステータスの凹凸が分かれば自分の操縦の仕方も考えやすいかしら、と思っていたものの、内向性97%という外に出すのが可哀想なレベルの数値を叩き出してしまいました。どうすれば社会でうまくやっていけるかより、どうすれば社会でうまくやらなくてもすむかを考えるほうが勝率が高そうです。

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0 トム・ラス 古屋博子

才能と書いて自分と読む。元気な本ですね。自分の能力(資質)が活かせない環境で頑張るより、資質が活かせる環境で頑張ったほうがいい(茨の道を選ぶな)という思想のもと、人の持つ傾向を34の資質に分けて論じています。自身の診断結果をもとに、本に書いてあるそれぞれの資質の章を読み身の振り方を考える…というのがこの本の読み方です。本には診断サイトで使えるコードがついており、上位5つの資質を診断してくれます。34の資質全ての順位を知りたい場合は追加料金です。ちなみに私は実行力と戦略的思考力に分類される資質が上位を占め、影響力と人間関係構築力が下の方に固まっています。人間的な温かみが無いのが私のいいところです。ついでに慎重さが1位で達成欲が5位なので、何かを達成したい欲が強いのに、より上位の慎重さがそれを捩じ伏せるというセルフ虐待機関が出来上がっているようです。一般的に出来て当たり前とされる"他者と交流を持つ"行為が全く向いていないということと、気をつけないと自分で自分の邪魔をするタチであるということが分かり有益でした。ただ、この本の方針(茨の道を選ぶな)を盲信するのは危ないと感じます。たとえ茨の道でも、それが望みならうまく歩く方法を考えるという選択肢もあると思います。上手くできることがその人の望みと一致するとは限りません。まあ仕事向けの本なので、生産性の高いことをしろというのは仕方がないことですが。

明日クビになっても大丈夫! ヨッピー

よく読んでた記事のwebライターさんが本を出したので買いました。表紙がとても元気です。内容としては、会社員をしながら趣味を副業にする、という選択肢について軽快な文章で綴っています。好きなことで仕事をしようとすると、好きなこと以外の全てを捨てて(安定した仕事も捨てて)身を捧げろとかやりがい搾取とか仕事にしたことで好きじゃなくなる可能性による脅しなどがあります。これらを跳ね除けられる頑丈な精神がないと好きなことはできないのか…としょんぼりしている人に対して、脅しに真面目に取り合わないという選択肢を示しています。それから、あとがきに「行動することで自分の事が好きになる」「幸せへの近道は自分の事を好きになること」といった話があり、鬱屈とした気持ちへの対処を求めて手に取った他の本に書いてあったことが別の文脈で手に取った本(ライターさんのファンなだけ)でも語られていることに驚きました。結局のところ鬱屈とした気持ちから解放される手段は、「自分を好きになること」と「幸せ」に収束するのかもしれない…けどその二つが難しいのですよね。ひとまず行動するというのが答えだとしても、それを継続するのも難しい。好きなことですら続けられない人間はどうしたらいいんだろう?と新たな疑問を抱きました。

女の子よ銃をとれ 雨宮まみ

綺麗になりたいと言えばブスが調子に乗るなと言われ、諦めればブスのくせに努力もしないと言われ、努力できない理由を述べれば言い訳ばかりで性根も腐ってると言われる…というような"女"にかけられる圧力に対して"自分"であろうとする著者のエッセイです。上限(調子に乗るな)と下限(しかし最低限性的であれ)を設けられた欲望なんて自分の欲望ではないという考え方に、私が頑張れない理由はこれではないか?と思いました。メインテーマは装いにかけられる圧力に関してですが、他の圧力にも通じるところがあると思います。例えば若いうちは夢に向かって邁進すべきだが、ある程度歳を取ったら好きなことはやめて、生産性のあることをしろとか。

まじめに生きるって損ですか? 雨宮まみ

「真面目」に懐疑的になっていたところにドンピシャなタイトル。読者から募集した愚痴に雨宮まみさんが共感したりちょっとだけ提案してみたりする本です。この世界には私以外にも七転八倒している人たちがいるんだなあということにも励まされます。特に興味深いのが「努力」に対する考え方です。努力しているのに報われない、と愚痴る読者たちを発端にしたコラムの中で、雨宮さんは「努力じゃなくても解決することはあるはず」と述べています。「工夫」「譲歩」「交渉」「アイデア」…そういったもので解決できることだってあるはずなのに、何でもかんでも努力で解決する(解決しないなら努力が足りない)というのはおかしいと。小説家の村上龍さんは小説を書くにあたって「訓練はしたが、努力はしていない」という旨を述べたそうです。これだ!と思いましたね。まじめに生きるとは何なのかというと、「努力」して苦しみ辛い思いをして心身すら壊しかねない行為を積み重ねたうえで人より秀でて初めて認められる…という工程のことだと私は思っています。これの工程を飛ばして何かを出来るようになったり、あるいは何かを目指し渇望することをしないことは不真面目で許されない。…けれど、努力しろという発言はつまり、苦めということであり、それは罵倒の言葉なんじゃないかと思うと放っておいていい気がしてくるのです(努力で上手くやれた人を否定するものではありません)。「努力」しなくても、私はもっと上手くやれる方法を知っているんじゃないか(そしてそれは狡いから駄目だと思っているのではないか)と考えるきっかけとなりました。

筋トレが最強のソリューションである Testosterone

ソリューションは日本語で「解決」のことです。筋トレで大体のことは解決するという趣旨の本です。1ページあたりひとつ、何も出来ない…みたいなときに動けるようになる気持ちの持ち方を、筋トレを絡めて書いています。最初のページに、メンタルが弱ったら試すべき5つの行動が書かれているのですが、その1つ目が「8時間の睡眠の確保」であり、筋トレではないことで信用できるかもと思いました。表紙はめちゃくちゃ体育会系な感じですが、根性論や努力信者ではないです。自分に自信がない→自信をつけるには何かが出来たという事実が必要→何かをするためにはそもそも自信が必要…という無限ループに陥っている人に対して、筋トレは割とすぐ成果が目に見えて実感しやすいから、ひとまず騙されたと思ってやってみるといいよ、というスタンスです。筆者のTwitter単体で見ると、自分次第でなんでもなんとかなる!という思想が特に強く感じられてしまうのですが、本だとマイルドになってるので本がおすすめです。精神を変えるよりも見た目を変える方が簡単、と述べている点も興味深いです。Webページで推奨されてる方法を1ヶ月くらい続けてみたら、しにたさは無くならないのに脚と脚の間に少しだけ隙間ができて、身体に対する精神の関係なさを感じました。

痩せない豚は幻想を捨てろ テキーラ村上

筋トレ+プロテインを推奨するブロガーさんの本です。ダイエットに関してだけならブログでまとめられている内容で事足りますが、精神的な面で弱ってて痩せたいけどダイエットなんて出来ないと感じている人とマジで人より食べてないのになんか丸いという人は本もおすすめです。カロリー過多な人、ダイエット器具にお金を注ぎ込む人向けの記載も多いですが、筆者自身がこのなんか丸いタイプだったようで、1番具体的に書かれているのはなんか丸いタイプ向けの話です。幸せなデブはそのままでいいよ、しかし太っていることで幸せでない卑屈なデブはちょっと待て、と痩せていなければならないという脅迫がないのもよいです。ダイエットは山の麓にある扉を開けることに等しく、痩せた後にどんな人生を送るのかが重要だと述べられており、片づけの魔法にも、片付けたあとにあなたの人生がはじまるのです的なことが書いてあったことを思い出しました。痩せてもいなければ片付いてもいない私の人生全然始まってないじゃんウケる、と思うと共に、始まってる人生ってなんだろう?とも思いました。

はじめての痩せ筋トレ とがわ愛

testosterone氏とテキーラ村上氏もおすすめの筋トレを教えてくれてはいるのですが、何せ人生でまともに運動したことが一度もない人間には難しすぎており。見様見真似でやってみてもあってるのか分からないし筋肉ゼロだから全然真似できてない気がして劣等感が募る…という悩みを解消してくれた本です。オーソドックスな筋トレの説明に加えて、その方法に見合う筋力がない場合の負荷の軽いフォーム、どこに効いてる感じがすれば正解か、負荷を上げてみたいと思ったらどうしたらよいか…ということがほぼイラストで紹介されており初心者は大変助かります。インドア派のために家で出来る方法がほとんどなのもありがたかったです。私は朝ごはんプロテイン置き換え+痩せ筋トレで一時5kg減まで行きました。その後停滞期っぽい期間にコロナ禍が始まり全戻ししたのでまたどうにかしたいです。

あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント 鴻上尚史

顔や髪型、服装に気を使うように、声や体(動き)、感情、言葉にもちゃんと気を使うと自分を魅力的に演出できますよ、という提案をしている本です。鴻上氏は演出家なので、「これが魅力的ということだ!」という型(モデルやアナウンサーのようになれ)を示すのではなく、その人自身をより魅力的にする(演出する)ことを提案しています。見た目より心だよというのであれば、その心を魅力的に表す見た目をしていたほうがもっとよくない?という考え方です。「感情の教養」という節が特に興味深いです。感情は変わる(怒ったり悲しくなったりするのは仕方がない)が、変わった後の感情から別の感情に変わるにはどうしたら良いか、そしてそれにはどれくらい時間がかかるのか…ということを知っていることを、感情の教養と定義しています。この教養があれば、いつもゴキゲンな人にはなれなくても、ゴキゲンなことが多い人にはなれるかもしれません。そして多分、ずっとゴキゲン(幸せ)な気持ちであることは不可能ですが、ずっと辛い(不幸)な気持ちであることも不可能に出来るのではないかと思いました。感情も身体と一緒で色々な方向に運動をさせないとどんどん動かなくなっていくので、動かすことを意識した方がよいという考えは実践していきたいと思っています(たとえ喜びに一辺倒であるとしても、それは単調で退屈になりうる)。

平気で生きるということ 小野ほりでい

資本主義ゾンビ

平気で生きるということ(β)

3つの連続したnoteです。「平気で生きる」という言葉にピンとくる場合にはぜひ。1人で考えていて、薄々そうなのかもしれないと感じていたことが丁寧に綴られていて驚きました。しかも穏やかで開かれた文章で読みやすい。「毎日掃いても落ち葉がたまる。これが取りも直さず人生である。」という田山花袋の言葉を発端に、落ち葉という問題をどうしたら解決できるようになるのか(どうしたらどうせ無くならないの問題に対処し続けられるようになるのか)を考察しています。「平気で生きるということ」で、一般にググると出てくるような精神的ライフハック(自分の感情を大切にすることや自己肯定感など)に関して、出来ない人がどうして出来ないのかという観点に触れながらどうにか動けるようになる理屈を立て、そして「資本主義ゾンビ」で現代の未来への希望が感じられない閉塞感についてそうなって当然であるという体で一身に受け止め、「平気で生きるということ(β)」で無印版で立てた理屈のさらに根幹を、資本主義ゾンビを書く中で得た閉塞感の正体への知見を持って突き詰めています。そうして最後に書かれた「落ち葉」に対する結論には震えました。しかし真理だけれど、人類全員がそう考えられるわけではない(そう考えたいわけでもない)から、全員に平穏は訪れないだろうとも思います。それでも私がどうにか動けるようになったのは、「資本主義ゾンビ」の「欲望する不気味な他者(2/2)」なかで量子論の登場について"不確定性原理によって、粒子が二重スリットに向かって射出されたとき、それがいつどこにあるのか、そしてどこに着弾するのか「分からないこと」が分かったのだった。量子の世界はどこまで拡大しても粗さの見えない精巧なモデルではなく、接近したときに必要な結果が産出される、スペックの不十分なマシンで遊ぶゲームのようなぼやけた世界観なのである(もっとも世界に対して機械的な精巧さを要求したのは人間だが)。"という文章のおかげです。何もかもがもう既定路線で、私は失敗したまま生きていくのだと思っていたのに、この世界が"精巧な機械"でないなら、何故人間はまるで既定路線があるかのように教育をし、他者を攻撃し、自身の欲を打ち捨てるのでしょう?

理解という名の愛がほしい。 山田ズーニー

おとなの小論文教室。というインターネットで公開されているコラムをまとめたものです。山田氏が日々の生活で考えたこと文章を書くことで他者から働きかけを受けて感じたこと…などが書かれています。私が特に好きなのはLesson233生きる実感とLesson909光です。コラムで一貫しているのは、自分が表現したいことを表現することが、孤独からの脱却につながる…ということだと思っています。この、自分が表現したいことに正確に気がつき、それを他者に伝わるように出力するというのが物凄く難しいのですが。しかしそれを理解したうえで一歩踏み出せない人に向けられた文章を読むと、自分も何か表現してみようかなという気になります。

元ひきこもり芸人 山田ルイ53世氏インタビュー

第4回の「人生には、無駄があってもいい」に大変感銘を受けたので第4回にリンクを貼ってます。あらゆる事を美談にしなくてはいけない、無駄にしてはいけないという内外からの脅迫が、今(今まで)から方向転換することを困難にするように感じます。やってみて、これは無駄だったな、と見切りをつけられれば、数十年も同じところで足踏みしちゃう、なんてことを避けられるのではないかと思います。見切りをつけたあと、やっぱり最初の方向だったと戻ることだってできるようになります。無駄は悪であると考えることが、変わることをリスクにするのではないでしょうか。第3回で語られる「勝負する世界をズラす」も知っていていいことだと思います。ズラすことは恥ではないです。恥だ挫折だと、そう思ってる外野は言いますが。自分が心から納得した戦略であればそれらは雑音にできます。ここは「明日クビになっても大丈夫!」に書かれていることと共通する部分だと思います。

星の王子さま アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ

個人的な思い出として、小学校本が置いてあって、図書室の壁にはその1ページが貼り出されていた(挿絵が可愛い)…が、身内が意味がわからないし嫌い、と言っており、読んではいけない気がして手に取れなかった本です。それからというものの、読んでもいないのになんとなく苦手意識がありました。しかし「平気で生きるということ」のなかで引用されていたので、これも縁と思ってこっそり買って読んでみたところ、生きているなかで感じた違和感のほとんどがテーマとして書かれていて驚きました。キツネの話が私の憂鬱を表現していて、知っている世界が広くなることで不幸になることもあるのだと感じました。知らないゆえに気づけない不幸を消したくて色々なことを知ろうとするのに、知ってしまうがために、「それ」を「なつけ」たり「それ」に「なつく」必要がなくなってしまう。選択肢が広くなるほど、誰でも、何でもよくなるでしょう。何にしたって大した違いはないのだから。身内が嫌いと言っていた理由もなんとなく分かりました。多分、王子さまの感覚を自覚的に持っていて、でも王子さまの感覚で生きられなかった人は嫌いになる本だと思います(本の結論的にも、基本的には生きられないのだと思います)。身近な他者に面と向かってこの本が好きと言える大人は多分、「世間」からズレた人、あるいは王子さまを消費する人だと思います。これからもこっそり大切にしていきたい本です。

「きれいな自殺なんてない」死にそこねた私と、特殊清掃人が見たリアル yuzuka×小島美羽

「しにたい」でググってたときに見つけました。命は尊いものだから、命を差し出せば周囲の人間は真摯に対応してくれるようになる…なんてことはなく、この世界は遺書すら捨てられる世界観らしいです。この記事で示唆されている行為が本当にだったとしたら犯罪にあたりそうですが、誰も見ていなければ証拠がありません。なので少なくとも、誰かに何かをしてもらうために死んでも目的は達成されない可能性がある(生きた状態で目的を果たそうとする場合と変わらない)ことは覚えておくべきだと思いました。誰かとか関係なく何も考えずに済むようになることが目的なら、うまくやり遂げればオールオッケー…って、何もかもうまくやり遂げられなかったから今の状態になっているのに、どうして今回だけはやり遂げられると思えるのでしょう。急に自分の能力を過信して、都合が良過ぎる。しかし冷静でなく魔が差した時が危ないので、物理的に選択できちゃうようなシチュエーションに近づかないのが唯一できる防衛方法なのかなと思います。

・「黒子のバスケ」脅迫事件 被告人の最終意見陳述全文公開 篠田博之(ネットの記事自体)、渡邊博史(陳述文)

世の中の"頑張ればいいじゃん!"に対してそもそも頑張れない人は生きている世界が違う、ということをとても分かりやすく述べられている陳述文です。しかしこの陳述文は事件を起こすという発信があって初めて得られた知見です。頑張れない人(筆者の言うところの埒外の民)は基本的に発信も出来ない人で、存在していないかのようなのに存在しているという矛盾が限界を迎えたとき、本人すら思いもよらない形で爆発するのではないかと感じました。そして爆発することで初めて精神科医の目に留まりアシストが入ったり、見当違いの批難を浴びせられたりして灯火しかないような自我を発見できるわけです。助けてと言えない代わりに人を傷つけることで強制的に人と繋がる。しかしこの工程を民の数だけやっていたらどのくらいの被害が出るのでしょう。少なくとも私は被害に遭いたくない。爆発する本人としても、爆発せずに自身のための結論にたどり着けたほうがその後の身動きが取りやすい気がします。爆発してしまった先人の感想を読んで方向転換出来れば良いですが、なるほど!爆発すれば繋がれるのか!という方向になる可能性もあり難しいです。一念発起して爆発以外の方法で発信できたところで、それを受け取る相手がいるとは限らないですし。

ガルニモ ガルニコ

古き良きシンプルイズベストな個人サイトでした。孤独かつ考え癖のある人間は大体仏教か哲学に傾倒していくと私は思っているのですが、そうなりそうな考えの出発点と着眼点を持ちながら、道徳を疑わず、仏教にも哲学にも感銘を受けないという稀有な人物でした。なぜ過去形かというと、最近サイトが消えてしまったからです…。保存しておけばよかったです。別ドメインで更新されていた株式投資ビギナーというコンテンツはブログに移行していたので、そのうちガルニモも復活するかも、という淡い期待を持ってリンクを貼っています。

 

〜以下、文字を読む気力がないとき用〜

ヨルシカ

思想犯

藍二乗

だから僕は音楽をやめた

盗作

歌詞だけ読むと陰鬱な感じですが、ボーカルのsuisさんの表現力が「希望の捨て切れなさ」を感じさせてすごいです。思想犯の「また明日 口が滑る」の歌詞が秀逸。

ぼくのりりっくのぼうよみ

朝焼けと熱帯魚

つきとさなぎ

罠 featuring SOIL&"PIMP"SESSIONS

あんまりピリピリした曲はつらい、というときは前二つがおすすめです。罠はカッコいいのでブイブイ言わせたい気持ちのときにおすすめです。ちなみにもうぼくりりは辞めてます。キモいファン(私が勝手に言っているのではなく、本人がそう言いました)がついて嫌になったので辞めます!と大暴れして辞めました。今まで積み上げてきて、外から見ると成功したように見えるものがあってもダメだと思ったら辞めて仕切り直すことができるその思い切りの良さも含めて好きです。歌えなくなるほどの葛藤のうえでのことなので、簡単な決断ではなかったと思いますが。薄々今の方向性だとダメなのが分かっているのにその場に止まっている人は、ぶち壊しっぷりを見てみるのも面白いと思います。Twitterやインタビューはそのまま遺されているので。

PROT SCRAPS

FLAWLESS YOUTH

PLAY

消えないで

ヨルシカやぼくりりと比較すると優しく寄り添ってくれる感じです。春の日差しって感じです。言葉の端々に、多分私と似たような悩みを抱えたことがあって、かつ救われた経験あるのではないか、と感じさせてくれます。

 

次回の更新内容は未定です。